中国の歴史書として有名な『三国志』ですが、「なぜ“史”ではなく“志”なの?」と疑問に思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
たしかに、歴史の本なら「三国史」と書かれていても不思議ではありません。
しかし、『三国志』の「志」という字には、中国古代史ならではの歴史書の形式や意味が関係しています。
この記事では、『三国志』のタイトルに使われている「志」の意味や、中国史における歴史書の名前の付け方について、初心者にもわかりやすく解説します。
「三国志」は正式な歴史書の名前
まず知っておきたいのは、『三国志』は小説ではなく、もともとは正式な歴史書だということです。
『三国志』を書いたのは、中国・西晋時代の歴史家「陳寿(ちんじゅ)」です。
魏・呉・蜀という三国時代の出来事や人物をまとめた歴史書として編纂されました。
つまり、『三国志演義』のような物語ではなく、歴史記録として作られた本なのです。
「志」という字にはどんな意味がある?
現代日本語では、「志」という漢字は「こころざし」や「目標」という意味で使われることが多いです。
しかし、中国古典では「記録する」「書き記す」という意味でも使われていました。
つまり、『三国志』の「志」は、
「三国時代について記した書物」
という意味になります。
そのため、「史」ではなく「志」が使われていても不自然ではありません。
では「史」と「志」はどう違うの?
「史」という字ももちろん歴史を意味します。
ただ、中国古代では歴史書のタイトルに必ず「史」を使うルールがあったわけではありません。
実際、中国にはさまざまな歴史書があります。
| 書名 | 意味 |
|---|---|
| 史記 | 歴史の記録 |
| 漢書 | 漢王朝の書物 |
| 後漢書 | 後漢の歴史 |
| 三国志 | 三国について記したもの |
このように、中国の歴史書はタイトルの付け方が統一されているわけではありません。
「志」も「記」も「書」も、それぞれ歴史をまとめた書物として使われていました。
「志」は中国史でよく使われる言葉だった
実は、中国の歴史書では「○○志」という言葉がよく登場します。
例えば、
- 地理志
- 礼志
- 天文志
などがあります。
これは「地理について記した章」「礼儀制度について記した章」という意味です。
つまり、「志」という漢字には、昔の中国では「ある分野を詳しく記録したもの」というニュアンスがありました。
そのため、『三国志』というタイトルも、中国人にとっては自然な名前だったのです。
『三国志演義』との違いにも注意
日本では「三国志」と聞くと、劉備・関羽・諸葛亮などが活躍する物語をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、一般に有名なストーリーの多くは『三国志演義』という小説の影響です。
『三国志演義』は明代に作られた歴史小説で、史実に創作を加えています。
一方、『三国志』は歴史書なので、比較的事実を中心に書かれています。
つまり、
- 『三国志』=正式な歴史書
- 『三国志演義』=歴史を元にした小説
という違いがあります。
なぜ日本人は「史」のほうが自然に感じるのか
現代日本では、「歴史」という言葉が一般的なので、「史」のほうが歴史っぽく感じる人が多いです。
学校でも、
- 日本史
- 世界史
- 歴史
という言い方をします。
そのため、「三国志」というタイトルを見ると、「なぜ“史”じゃないの?」と感じやすいのです。
ですが、中国古典の感覚では、「志」も歴史記録を意味する自然な表現でした。
まとめ
『三国志』の「志」は、現代日本語の「こころざし」ではなく、「記録する」「書き記す」という中国古典の意味で使われています。
そのため、『三国志』は「三国時代について記した歴史書」という意味になります。
また、中国の歴史書には「史」だけでなく、「記」「書」「志」などさまざまな名前が使われていました。
現代日本人には「三国史」のほうが自然に見えるかもしれませんが、中国古代の歴史文化では『三国志』という名前は非常に自然なタイトルだったのです。


コメント