ジョージ・マーシャルとアメリカの対中方針:国共内戦への不干渉とその背景

中国史

ジョージ・マーシャルはアメリカの国務長官として、中国における戦後の政治的解決を目指し、国共内戦を避けるために努力しましたが、最終的にその試みは失敗に終わりました。今回は、マーシャルの中国政策、アメリカの不干渉方針、そしてその後の中国共産党の勝利について解説します。

1. ジョージ・マーシャルとアメリカの対中方針

第二次世界大戦後、アメリカは中国に対して積極的な政治的介入を試みました。ジョージ・マーシャルは、国民党と共産党の間で停戦を促進し、合同政権の樹立を目指しました。アメリカは国民党軍に対して最大で11万もの兵力を送り、マーシャル元帥がその指揮を執りました。しかし、マーシャルは共産党勢力の完全排除は難しいと考え、停戦協定を結ぶことを選びました。

マーシャルの提案は、共産党も含む統一政府の樹立を目指すものであり、アメリカとしては中国の安定と再建を促す狙いがありました。しかし、国民党の蒋介石はこれに乗り気ではなく、裏でソ連と密約を交わして共産党への支援を弱体化させる奇策を試みました。

2. トルーマンの決断:国共内戦への不干渉

マーシャルが中国での和平を模索している間、蒋介石は一方的に停戦協定を破棄し、共産党への大攻勢を開始しました。これに対し、アメリカは激怒し、マーシャルは本国に召還されました。トルーマン大統領は、その後、中国に対するアメリカ軍の介入を停止し、国共内戦に対しては不干渉を宣言しました。

アメリカは、既に日本戦後の復興と冷戦の対策に忙しく、さらに中国国内での政治的介入を続けることは現実的ではないと判断したのです。アメリカは最終的に、国民党軍への支援を中止し、共産党勢力の台頭を許してしまいました。

3. トルーマン大統領と台湾への政策転換

トルーマン政権は、最初は中国本土での共産党の勢力拡大に対して慎重でしたが、1950年1月に発表された「台湾不干渉声明」により、台湾に関するアメリカの政策は一転します。この声明では、アメリカは台湾海峡に関する紛争に一切関与しないとし、中国共産党が台湾に攻撃を加えても介入しないことを表明しました。

しかし、朝鮮戦争が勃発すると、アメリカは台湾を防衛するために海軍第7艦隊を派遣し、台湾を事実上アメリカの保護下に置きました。この転換は、アメリカがアジアでの共産主義の拡大を阻止しようとした一環であり、台湾と中国大陸の対立を激化させました。

4. まとめ:アメリカの中国政策とその影響

ジョージ・マーシャルの試みは、共産党と国民党間の和平を目指したものの、最終的には失敗に終わり、中国の共産化を防ぐことはできませんでした。アメリカの対中政策は、国共内戦への不干渉を決定し、その後、台湾を含むアジア政策が大きく転換することになります。

トルーマン大統領の判断は、冷戦の対立構造の中で中国をどのように扱うべきかの難しい選択を反映しており、その後の台湾問題やアジアにおけるアメリカの影響力にも大きな影響を与えました。中国の共産党政府は、この後、完全に中国全土を支配するに至り、アメリカと中国の関係は新たな段階に突入しました。

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