日本海軍における艦船設計は、軍艦の建造を担当する艦政本部に設計指示を出すところから始まります。しかし、設計指示の背後にあるのは、どの機関がその要求性能を決めるのかという問題です。このような問題に関して、海軍省、軍令部、連合艦隊などがどのように関与していたのかを深堀りしていきましょう。
1. 日本海軍の艦政本部と海軍省
艦政本部は、日本海軍の艦船設計を担当する機関です。艦政本部に対して指示を出すのは海軍省です。海軍省は、艦船設計に関する基本方針や指示を提供し、その後艦政本部が設計作業に着手します。実際には、海軍省は艦船の設計に関する大まかな指針を決定し、艦政本部がそれを具現化する役割を果たしていました。
2. 軍令部と要求性能の関与
軍令部は、海軍の作戦や戦術に関わる部門です。要求性能に関して、軍令部は海軍の戦力としてどのような性能が求められるか、つまり作戦に即した艦船性能を決定する上で重要な意見を持っていました。しかし、最終的な性能要求を決定するのは海軍省であり、軍令部の意見も考慮されるものの、直接的に要求性能を定めることは少なかったと考えられています。
3. 連合艦隊の影響
連合艦隊は、実際に艦船を運用する部隊です。連合艦隊は、自分たちの艦船の運用経験を基に、艦船に必要な性能を要求することがありました。これにより、艦船設計の要求性能には、戦場で求められる性能が反映されることになりますが、最終的な決定権は海軍省にありました。連合艦隊の意見はあくまで参考程度となることが多かったと言われています。
4. 要求性能の決定プロセス
艦船の要求性能は、海軍省、軍令部、連合艦隊の意見を基に取りまとめられます。海軍省が最終的に要求性能を決定しますが、その際には軍令部や連合艦隊からのフィードバックが非常に重要な役割を果たしていました。特に、戦術的な視点から見た艦船の性能要求が設計に反映されることが求められました。
まとめ
日本海軍の艦船設計における要求性能の決定は、海軍省が中心となり、軍令部や連合艦隊の意見を反映させながら進められていました。艦政本部はその設計を担当し、最終的な艦船の性能を具現化する役割を担っていました。艦船の設計がどのように進められ、要求性能が決定されたのかを理解することは、日本海軍の艦船建造の歴史を学ぶ上で非常に重要です。
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