朝鮮半島からの結核菌伝播と縄文系日本人への影響

日本における結核の歴史を紐解くと、古代における病原体の伝播経路と、その影響を受けた集団の特徴が浮かび上がります。特に、縄文系の人々が結核菌に対する免疫を持たなかった可能性については、古病理学的研究で指摘されています。

結核菌の日本への伝播経路

鈴木隆雄『我が国の結核症の起源と初期流行についての古病理学的研究』によれば、朝鮮半島から多数の渡来人が日本列島に移動した過程で、結核菌も同時に伝播したと考えられています。渡来人が持ち込んだ結核菌は、当時の縄文系住民にとって未知の病原体であり、免疫を持たない人々に深刻な影響を与えました。

縄文系の日本人は、結核菌に対する免疫を十分に獲得していなかったと推定されます。そのため、伝播した結核菌は縄文系住民に爆発的に広がり、多くの健康被害をもたらしました。この現象は、集団免疫の欠如による感染症流行の典型例といえます。

古病理学的な研究では、縄文時代の遺骨から結核の痕跡が確認され、渡来人の移動と関連づけて説明されています。これにより、結核の初期流行が縄文系集団に対して特に大きな影響を与えたことが支持されています。

朝鮮半島から渡来した人々による結核菌の伝播は、日本における結核症の初期流行の重要な要因でした。特に縄文系の人々は免疫を持たなかったため、病気の影響が甚大であり、これが日本人集団の健康史における重要な節目となっています。