第二次世界大戦中、アメリカが日本の行動に対してどのように反応したのか、特に日本が北部仏印に進駐した際に石油の全面禁輸に踏み切らなかった理由については多くの議論があります。今回は、その背景に迫り、アメリカがなぜ南部仏印進駐に至るまで石油禁輸を遅らせたのかを解説します。
北部仏印進駐とアメリカの対応
日本が1939年にフランス領インドシナの北部（現在のベトナム）に進駐したのは、主に中国との戦争を有利に進めるためでした。アメリカはその行動に対して外交的な抗議を行いましたが、直ちに軍事的な制裁を取ることはありませんでした。特にアメリカは中国への支援のため、直接的な対立を避けようとしました。
この時点でアメリカは、日本の行動が中国への支援を妨害することに危機感を抱いてはいたものの、すぐに重大な行動に出るにはタイミングを計っていたという見方もあります。アメリカは、日本がさらに南部仏印に進駐することで、中国を完全に封じ込めることを懸念し、対応を強化する準備をしていました。
石油禁輸の遅れとその背景
日本の北部仏印進駐に対して、アメリカはすぐには石油の全面禁輸に踏み切りませんでした。その理由として、アメリカ政府が日本の経済的な困窮を見極め、極端な措置を避けようとしたことが挙げられます。アメリカは日本に対して段階的な経済制裁を行い、最初は厳しい経済制裁を課さず、様子を見ていたのです。
また、アメリカ国内の石油業界や国際的な経済関係も影響していました。石油禁輸を一方的に実施することで、日本の反発を招き、戦争に突入するリスクが高まることを懸念していたため、慎重に対応したと考えられます。
南部仏印進駐と禁輸決定
アメリカが日本に対して石油禁輸を本格的に行う決定を下したのは、1941年7月の南部仏印進駐の時でした。この時、アメリカは日本が東南アジアを制圧し、さらに中国とアメリカの支援ルートを遮断しようとする動きに対して危機感を抱きました。日本の行動が、太平洋地域でのアメリカの影響力を脅かすと判断されたため、アメリカは石油禁輸という経済制裁を強化したのです。
アメリカがこの時点で禁輸を実施したのは、日本の戦争の拡大を防ぐためと同時に、アメリカの国際的な戦略を守るための重要な措置でした。
まとめ
日本が北部仏印に進駐した段階で、アメリカはすぐに石油禁輸に踏み切らなかったのは、経済的な影響や戦争回避のためでした。しかし、日本の南部仏印進駐を受けて、アメリカは本格的な制裁を決断しました。アメリカの対応は、段階的な圧力をかけつつ、最終的に日本の軍事行動に対する決定的な制裁として石油禁輸に至ったことが理解できます。
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