サムライの給与体系には、禄高(ろっこう)と切米(きりまい)という2つの方法があり、どちらもサムライの生計を支える重要な指標となっていました。禄高は基本的に収穫量で示され、切米は俵で表現されることが多いですが、これらは実際にどれくらいの手取りを意味するのでしょうか。この記事では、禄高と切米の関係について詳しく解説し、どのように比較できるのかを考えていきます。
禄高と切米の違いとは?
禄高とは、主に石高で示されるもので、サムライがその地域でどれだけの米を取れる権利を持っているかを示します。例えば、100石取りのサムライは、年に100石分の米を受け取る権利を持っていることになります。一方、切米はその米の実際の量を表現するもので、通常は俵(たわら)で示されます。1俵の米は、現在の尺度で言うと大体60kgに相当します。
ただし、禄高と切米は基本的に同じものを指すこともありますが、その表示方法が異なるため、比較する際には多少の誤解が生じることもあります。
禄高と切米の手取りの違い
禄高が示す米の量は、実際にサムライが手にする米の量ではありません。年貢として税金が取られ、また、米を引き出すために手数料がかかるため、サムライが実際に手にする米の量は、禄高から引かれることが多いです。例えば、年貢率が3割5分(35%)の場合、100石の禄高があったとしても、実際に手にする米は65石程度に減ることになります。
切米の場合、米の手取り量が明確に示されるため、より具体的な支給量を把握しやすいという特徴があります。100俵取りというのも、実際にどれくらいの量が支給されるかを表しているため、禄高とは少し違った形で支給される米量を反映しています。
幕府の影響:1俵=3斗5升
幕府は、米の単位を統一するために、1俵=3斗5升という基準を設けました。この基準により、1俵の米の量がある程度統一されるようになり、禄高と切米の換算がしやすくなったと言えます。これにより、各藩は米の量を切米で表すことができ、より直感的に禄高と切米の関係を理解できるようになりました。
ただし、この基準が各藩で必ずしも同じように適用されたわけではなく、藩によって米の質や計算方法に多少の違いがあったため、同じ100俵でも地域によって手取り量が異なることもありました。
禄高と切米の比較:最終的な手取り
結局、禄高と切米は、基本的に同じような価値を持ちますが、その表示方法が異なるため、直接的に比較するのは難しい面もあります。例えば、禄高が100石の場合、税金や手数料を差し引いた後の手取り量はおおよそ65石程度であることが多いです。一方、切米の場合、支給された量は明確に100俵となるため、実際の手取りはすぐに理解できることになります。
また、幕府の基準に従って1俵を3斗5升として計算した場合、切米と禄高がほぼ一致することもありますが、各藩によって微妙な違いが生じることがあり、完全に一致するわけではない点に注意が必要です。
まとめ
禄高と切米は、基本的には同じ価値を持つものの、表現方法が異なります。禄高は米の収穫量を示し、切米はその米の実際の支給量を示します。禄高が税金や手数料によって減少することを考慮すると、最終的な手取り量は切米の100俵取りとほぼ同じになる場合もあります。しかし、米の単位や基準が藩によって異なるため、必ずしも完全に一致するわけではありません。どちらもサムライの生活を支える重要な要素であり、当時の経済と社会の仕組みを理解する上で欠かせない指標です。
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