漫画『ベルサイユのばら』は、フランス革命前後の時代背景を描いた作品で、数多くの実在の人物や歴史的事件が登場します。しかし、登場人物や出来事にはフィクションが絡んでいるため、史実と創作部分の境界がわかりにくいこともあります。この記事では、『ベルサイユのばら』に登場する実際の人物や事件と、その創作部分について解説します。
1. オスカルとアンドレ:漫画のオリジナルキャラクター
『ベルサイユのばら』で主要な登場人物であるオスカル・フランソワ・ド・ジャルジェとアンドレ・グランディエは、実際には歴史上の人物ではなく、漫画のオリジナルキャラクターです。オスカルは、フランス革命の時期に活躍した実在の軍人を基にしたキャラクターで、彼女が実際に存在したかどうかは不明ですが、革命時の女性軍人の象徴的存在として描かれています。
アンドレもオスカルの側近として登場しますが、彼の存在も史実には基づいていません。二人の恋愛関係も、作品内でのフィクションの一部です。とはいえ、彼らのキャラクターは物語を豊かにし、時代背景に感情的な深みを加えるために重要な役割を果たしています。
2. ポリニャック夫人とロザリー:実際の人物と創作の融合
ポリニャック夫人(ジャンヌ・デュ・バリー)は、実際にマリー・アントワネットの親友であり、王妃との関係は歴史的事実です。しかし、『ベルサイユのばら』に登場するロザリー・ラヴァリエや彼女の姉のキャラクターは、完全にフィクションの人物です。ロザリーは、アントワネットに仕え、革命後も彼女に忠誠を誓った架空のキャラクターとして登場します。
また、ロザリーの姉についても、実在の人物ではなく、作品内で作られたキャラクターです。彼女が首飾り事件に関与したという描写も、フィクションに過ぎません。首飾り事件自体は実際にあった事件で、マリー・アントワネットが関与していないことが証明された後も、彼女に対する批判が続いた事件です。
3. 首飾り事件:実際の歴史的事件
首飾り事件は、実際に18世紀末のフランスで発生した大きなスキャンダルで、王妃マリー・アントワネットが関与していたと噂されたため、彼女の評判を大きく傷つけました。事件の詳細は、マリー・アントワネットが無関係であったことが後に判明しましたが、当時の社会では広まり続けました。
『ベルサイユのばら』では、この事件を物語に取り入れ、登場人物たちがその中でどのように関わるかが描かれています。史実と違い、アントワネットが事件の主役ではなく、周囲の人々が巻き込まれていく様子がフィクションとして描かれています。
4. フェルゼン伯爵:実在の人物とその影響
アントワネットの愛人として知られるアントワーヌ・フェルゼンは、実際に存在した人物です。彼はスウェーデン王家の貴族で、フランス革命の際にアントワネットと深い関係を持っていたとされています。フェルゼンは、アントワネットに対する深い愛情と忠誠心を持っていたことが伝えられており、『ベルサイユのばら』でもその愛情が色濃く描かれています。
フェルゼンは、革命の激動の中でアントワネットを助けようと試みるも、最終的には失敗に終わります。彼の存在は、歴史的な事実に基づいていますが、物語の中では彼とアントワネットの関係がややロマンティックに強調されています。
5. まとめ
『ベルサイユのばら』は、実際の歴史を基にしながらも、多くのフィクションが加えられた作品です。オスカルやアンドレのようなキャラクターは完全に創作であり、ポリニャック夫人やフェルゼンのような実在の人物も、物語の中で異なる形で描かれています。首飾り事件やアントワネットの愛人フェルゼンなど、実際の歴史的事件や人物が物語に影響を与えてはいますが、物語全体はフィクションとして楽しむべきです。
『ベルサイユのばら』を読むことで、フランス革命の歴史や当時の王政に興味を持つきっかけになることは間違いありませんが、史実と創作の違いを意識して楽しむことが、より深く物語を理解する手助けになります。
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