高野山奥之院にある複数の墓：武将たちの「真の墓」とは？

高野山の奥之院には武田信玄や織田信長をはじめとする歴史上の偉人たちの墓が多く存在します。しかし、彼らには他の場所にも墓がある場合が多く、どこが「本当の墓」なのか疑問に思う方も多いでしょう。この記事では、偉人たちの墓が複数存在する理由や、それぞれの墓の役割について解説します。

高野山奥之院の「供養塔」とは？

高野山奥之院には多くの供養塔が建てられており、これらは必ずしも遺骨が納められている場所ではありません。供養塔は故人を供養するために建立されたものであり、その人物の霊を慰めるための象徴的な存在です。

たとえば、武田信玄や織田信長の供養塔も奥之院にありますが、これは彼らが高野山を信仰し、後世の人々がその霊を鎮めるために建てたものです。このため、供養塔が「真の墓」とは限らず、あくまで供養の場とされています。

一般的に、遺骨が納められている場所が「本当の墓」とされています。武将や偉人たちの場合、遺骨は地元の寺やその家の菩提寺に埋葬されることが多く、戦国武将であれば故郷に墓があることが一般的です。

例えば、武田信玄の遺骨は山梨県の菩提寺に、織田信長の遺骨（遺髪）は京都の寺に納められていると伝えられています。このように、遺骨のある場所が本来の墓とされることが多いです。

日本の伝統では、戦国武将などが生前や死後に信仰を寄せていた場所に供養塔や分骨をすることが一般的でした。特に高野山は聖地とされ、多くの武将や貴族が自身や家族のために供養塔を建てました。これにより、複数の場所に墓や供養塔が存在することが珍しくないのです。

例えば、武田信玄の家臣たちは、主君の霊を弔うために高野山にも供養塔を建立しました。こうした背景により、実際の遺骨がない「霊廟」や「供養塔」が多くの場所に建てられたのです。

高野山は空海（弘法大師）によって開かれ、浄土信仰の聖地として知られています。多くの人々が死後の安寧を願ってこの地に供養塔を建てました。特に、戦乱の世に生きた武将たちは死後の成仏や家族の安全を願い、高野山に供養塔を建立することが多かったのです。

また、高野山に供養塔を持つことは、家の繁栄や家族の繁栄を祈る意味もありました。このため、故人やその一族が高野山での供養を望むことは珍しくありませんでした。

高野山奥之院にある武将たちの墓は、実際には「供養塔」としての役割を持ち、必ずしも遺骨があるわけではありません。真の墓は遺骨が納められている場所であり、高野山の供養塔は故人の霊を鎮めるための象徴です。こうした供養の文化を理解することで、高野山奥之院の歴史的価値がより深く理解できるでしょう。